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【論文紹介】単一凍結融解胚移植におけるレトロゾール使用の効果について

レトロゾールをはじめとしたアロマターゼ阻害薬の効果については、

最近非常に注目されています。

 

レトロゾールやフェマーラは、卵巣刺激の際に用いられるだけでなく、

移植周期の際にも使用されることがあります。

 

フェマーラ(レトロゾール)を用いた凍結融解胚盤胞移植について

 

今回は、世界で初めて、日本の大規模なデータを用いて

単一融解胚移植におけるレトロゾール使用の効果について検討した論文について記載します。

Pregnancy and neonatal outcomes following letrozole use in frozen-thawed single embryo transfer cycles

T. Tatsumi; S.C. Jwa; A. Kuwahara; M. Irahara; T. Kubota; H. Saito Human Reproduction, Volume 32, Issue 6, 1 June 2017, Pages 1244-1248, https://doi.org/10.1093/humrep/dex066

 

注目されるレトロゾールの効果


比較検証によって得られたデータは以下です。

レトロゾール周期 自然周期 ホルモン補充周期
妊娠率 61.30% 36.40% 33.00%
胎児心拍陽性率 51.30% 26.40% 23.30%
生児獲得率 56.50% 32.50% 28.80%
流産率 16.10% 27% 29%
在胎週数(週) 38.5 38.6 38.8
早産 1.60% 0.86% 1.30%
体重(g) 3004 3041 3062
性別(男児) 51.00% 51.50% 50.90%

 

これらの結果を見ると、レトロゾールの使用は非常に効果的なように考えられるが、

凍結融解胚移植の方法を選定した理由が欠如しており、妊娠分娩歴、過去のART不成功回数、胚の質、

レトロゾールの投与期間・投与量など、妊娠成績に影響しうる事項に関する情報が欠如しているため、

これだけですべてレトロゾールの使用だけを推奨する理由にはまだならないと考えられます。

 

レトロゾールのネガティブフィードバックの機能により、患者自身のホルモンを用いた子宮内膜環境の整備が効果的である可能性は高く、

また、レトロゾールの半減期は短いため(約45時間)、胚移植時には体内から一掃されており、それゆえに在胎週数や胎児発育に影響しないと考えられています。

 

今後の動向に注目が集まります。

 

妊活ノート編集部

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