前回は子宮筋腫の概要について解説しました。
今回は、より具体的に不妊治療とかかわるところでの子宮筋腫の治療についても
解説したいと思います。
子宮筋腫の治療
子宮筋腫の主な治療は、子宮筋腫核出術です。
子宮筋腫は女性ホルモンと相関するように成長することから、
薬剤によってホルモンをコントロールする治療法もありますが、
ここでは、あくまでも不妊と合併している子宮筋腫の治療法について解説します。
前提として、知っておいていただきたいことは、
子宮筋腫の存在する女性では、多くの場合、「妊孕性がある」ということです。
その上で、子宮筋腫核出術の適応になるのは、
卵管の閉塞が子宮筋腫によるものである場合
子宮頸管や子宮腔が筋腫によって圧迫されたり狭窄している場合
検査したけれど、不妊や不育などの原因が筋腫しか考えられない
というような場合です。
治療の種類
子宮筋腫核出術には、開腹で行うものと内視鏡で行うものがあります。
子宮筋腫の大きさや位置や数によって、内視鏡の適応ができないこともあるため、
開腹式がすべてを網羅していると言えます。
しかしながら、術後のことや患者さまの負担を考えると、昨今内視鏡による手術の適応が広がることが期待されているのが
実状ではないかと思います。
実際に治療後の成績の比較では、開腹式も内視鏡式も術後の妊娠率には差がないことが報告されていて、
子宮筋腫の大きさが小さいほど、患者の年齢が若いほど術後の妊娠率が高い
ことが示唆されました。
また、最近の報告では、子宮腔内に突出し直径が7センチメートルを超えない子宮筋腫であれば、
体外受精等を行った際の流産率や着床率に悪影響はないという報告もされています。
そのため、子宮筋腫であるからといたずらに不安になるということでも、
子宮筋腫は実は安全であるということが言いたいわけでもありませんが、
まずは子宮筋腫があることで発生する可能性のある
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月経の経血量の増加
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月経の期間の長期化
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下腹部の痛み
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不正出血
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めまいなどの貧血症状
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膀胱の圧迫感
などが自覚症状としてあれば、一度お近くの婦人科でご相談されてみるのがよいかと思います。