妊孕性温存について考える

乳がんについての基礎知識 その①

最近では様々なところで、妊孕性温存について述べられるようになりました。

がん治療前に卵子・精子凍結 学会初指針、子持てる選択肢例示

その中でも現時点で最も多い乳がんの基礎知識について簡単にまとめてみたいと思います。

 

そもそも乳がんとは?


そもそも、乳房とは、

  • 乳腺組織
  • 脂肪(及び間質)組織
  • 血管
  • 神経

などからできていますが、

この乳腺組織にできる悪性腫瘍を乳がんと呼んでいます。

 

乳腺は、母乳を分泌するための組織で、乳頭から放射線状に張り巡らされている

腺葉(せんよう)

と呼ばれる組織の集まりからなっています。

 

そして、腺葉を構成するのは、

多数の小葉(しょうよう)

乳管

で、小葉でつくられた母乳が乳管を通って、乳頭から分泌される、そのような流れです。

 

乳がんの内訳は、

入館の細胞が異常増殖したものを乳管がん

小葉の細胞が異常増殖したものを小葉がん

に分かれています。

 

全体の約90%は乳管がんを占めており、5-10%が小葉がんといわれ、

特殊な例として粘液がんや髄様がんなどもあります。

 

乳がんの進行度によって異なる


乳がんは、ある一つの細胞(上皮細胞)が遺伝子異常によって、無秩序に増殖を繰り返していき、

徐々にその悪性度を増していくものと考えられています。

 

乳管や小葉にとどまっている段階を非浸潤がんと呼び、

乳管や小葉を包む基底膜を破って外まで増殖していく段階を浸潤がんと呼びます。

イメージ通り、後者のほうが悪性度は高いと言えます。

 

乳がんに罹患する割合と発見に至るまで


1994年に胃がんにかわり、乳がんが女性のかかるがんの1位になって以降も増え続けています。

年間約8万人の女性が新たに乳がんと診断されていて、

日本人女性の11人に1人が一生のうちに乳がんを患う可能性があるとされています。

40歳代後半から60歳代前半までが最も罹患率が高くなるとされていますが、

20-30歳代での若年性乳がんも全体の7%ほど見られます。

 

乳がんの死亡率自体は全体のがんとくらべて5位と比較的良いとされているものの、

罹患数の増加に伴い、年々死亡者は増加しています。

 

乳がんが見つかる最も多いきっかけは自己発見です。

自己発見率は54.8%とされています(全国乳がん患者登録調査報告2014 調べ)

 

自身で気づく症状としては、

  • 乳房のしこり
  • 乳房に現れるエクボのような皮膚のひきつれ
  • 乳頭からの分泌液
  • 乳房の痛み

などがあります。

日本では40歳以上の方には検診を受けられるように推奨されていますが、

検診の受診率は以前にも書きましたが、欧米の70-80%という状況に比べ、

30-40%と低く、約半分程度にとどまっています。

乳がんと妊孕性温存について

 

 

妊孕性温存は確かにとても大切なことですが、まずは早期に発見することが最も予後をよくすることに関係しています。

詳しい方法などはいろいろなところで紹介されているので、参考にしてみてください。

参考:乳がんを学ぶ

 

妊活ノート編集部

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