子宮筋腫とは、子宮を形成する筋肉である子宮平滑筋を主な構成細胞とする腫瘤です。
女性特有のこの腫瘍は、良性であることが大半で命にかかわることはないといわれますが、
放っておくと10kgを超えるような大きさにまで育つこともあるといわれています。
どのようにして大きくなるのか、定かでない点もありますが、
女性ホルモン(エストロゲン)に反応して大きくなり、その後閉経と共に小さくなっていくと考えられます。
子宮筋腫の種類と発生頻度
子宮筋腫の発育する方向によって、
漿膜下筋腫
筋層内筋腫
靭帯内筋腫
に分けられ、
発生する部位によって
子宮体部筋腫や子宮頚部筋腫などに分けられます。
女性に発生する腫瘍の中で最も頻度が高いといわれており、
30歳以上の女性の2-30%、
40歳以上で40%、
の女性に筋腫が存在すると言われています。
未産婦の方が発生頻度が高いことや、
肥満が頻度を増加させること、逆に喫煙についてはその頻度を低下させることなどが報告しています。
もちろん、だからと言って、そのために喫煙を推奨するということでは全くありません。
子宮筋腫による不妊や症状について
妊娠のプロセス自体が複雑であるため、子宮筋腫によって、これが不妊原因となったということの証明は
とても難しいものです。
その中でも、特に有力とされるものについて解説していきます。
①着床障害
子宮筋腫の存在によって、子宮内膜に変化が起こります。
異常に薄くなったり、委縮する、逆に増殖する、炎症を起こす、
子宮血管の変形が起きるなどによって、着床する環境に影響を与えることが危惧されます。
②精子の移送障害
子宮筋腫によって、子宮内外の輪郭が不整になることによって、
精子が通りづらくなる可能性があります。
③卵管の圧迫や進展、閉塞
子宮筋腫の存在そのものによって、卵管の周辺に変化が起こってしまう可能性が指摘されています。
また、妊娠中はエストロゲンとプロゲステロンが増加しますので、
子宮筋腫もまた増大していきます。
流産との関係性はまだ明確になっていませんが、早産の原因となるのは確実といわれています。
子宮筋腫は近年、初経年齢の低下、初婚年齢の高齢化などによって、増加傾向にあります。
それと同様に、子宮筋腫への手術(子宮筋腫核出術)の実施も増加傾向にあるといわれます。
早期の婦人科での診察による早期発見が何よりの解決策につながりますので、
気になる症状がある方はお近くの婦人科を受診されてみるのもよいと思います。