コラム

排卵障害と漢方

先日、担当している漢方外来でとっても嬉しい報告がありました。

「4年間ずっとできなかった自力排卵ができたんです。家族も旦那もびっくり。先生に会えて、本当に良かったです。」

 

こちらのご報告は、個人的にも、とても嬉しいご報告でした。

 

というのも、私自身、妊娠を希望していた時期に、ストレスからの体重減少で、

排卵が止まってしまった経験があり、不安な毎日を過ごしていました。

 

「このまま排卵できなかったらどうしよう。卵が育たなかったら、どうしよう。」

 

そんな不安に押しつぶされそうな時もありましたが、漢方を通じて改善してきた経験があります。

 

不妊治療においては、自力での排卵にこだわる必要は必ずしもないのですが、

自力排卵できない女性にとって、自力排卵できるようになることは、精神的にもとても意味がありますし、

医学的に見ても、やはり自然排卵の力を高めることは、卵の成長をスムーズにすることにつながっていて、とても大切なことだと考えています。

 

ご報告をくださった方も、大きなストレスが原因で、

排卵が出来なくなって、もう自力では出来ないと思い込んでいたそうです。

それが克服できた!という、とってもうれしいご報告でした。

 

具体的なケースで見る排卵障害への漢方での対応


 

自力排卵が出来ないケースへの中医学での対応を、簡単にご紹介すると、

 

  • 視床下部性の無排卵には、腎精(両親から受け継がれた生殖能力の源)を補う、肝(自律神経を司る)の状態を改善させる処方など

  • 加齢による卵巣機能不全での無排卵には、腎(生殖能力を司る)の働きを助ける補腎剤など

  • PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)には、痰湿(身体に溜まった余分な湿)を取り除く処方、身体の瘀血(滞った血)の流れをよくする活血剤など

を使い対応することが多いです。

 

また、排卵が止まっている時は、原因にもよりますが、

 

「今は、妊娠できる体の状態ではないよ。」

 

という体からのメッセージの場合もあります。

 

何か妊娠できる状態でない症状が、無排卵以外にも、

例えば、胃腸に不調があったり、頭痛や、重い生理痛があったり、大きなストレスを抱えていたりと、併発している症状にも注意を向ける必要があります。

 

なので、単純に「無排卵なので、この処方!」というご提案はできません。

 

抱えている不調があるまま、無排卵だけを改善しようとしても、

うまくいかないケースが多いです。

 

漢方外来では、このような時に、無理に排卵を起こそうとするのではなく、

心身の不調を取り除き、妊娠できる状態だと体に認識をさせて、自然な排卵を促せるようサポートします。

 

排卵障害で、悩まれることがありましたら、お気軽にご相談にいらしてくださいね。

妊活ノート編集部

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妊活ノート編集部です。医療現場での当たり前を、より分かりやすい情報としてお届けします。正しい知識を得ることで、一日でも早い治療卒業のサポートをしたいと考えています。

住吉忍

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薬剤師 国際中医師

実家が相談薬局を営んでいるため、漢方薬に囲まれて育つ。漢方相談のお仕事に携わり10年になり、現在は不妊治療を専門にご相談をお受けしています。
京野アートクリニック高輪で毎週水曜日の漢方相談を担当しています。

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