先日のセミナーでも非常に多く上がったのが、卵子凍結に関する質問です。
卵子の老化が叫ばれて久しいですが、社会的適応の卵子凍結は確実に根付いてきている印象を受けます。
よくいただく質問について、簡単ですが解説しておきたいと思います。
未婚女性の卵子凍結はできますか?
→可能です。しかし、卵子凍結のメリット・デメリットを正しく理解いただいた上でなければなりませんので、
診察やセミナーへの参加を必須としております。
多嚢胞性卵巣症候群でも卵子凍結は可能ですか?
→可能です。状況によりますが、主としてIVM(未成熟卵子の成熟体外培養)を用いて行うことが多くなります。
他院からの凍結卵子の持ち込みはできますか?
→可能ですが、搬送容器の手配など様々に条件があります。一度ご相談ください。
卵子凍結の妊娠成績はどれくらいですか?
→卵子一つあたりで考えると、5%程度となります。
これが卵子凍結は妊娠率が低いといわれる理由です。
卵子凍結後の妊娠に至るステップは、
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凍結卵子を融解する
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融解した卵子と精子を顕微授精する
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受精卵が発育し胚盤胞になる
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胚盤胞を移植し、着床する
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妊娠が継続する
という流れであり、つまり、②以降は普通の顕微授精のステップと何ら変わりません。
私達の成績では、①の融解後の生存率は90%を超えています。
しかし、当院では、調節刺激法を主としているため、一度に採れる卵子は1つや2つではなく、
卵巣予備能が正常であれば15個を目途に採卵計画を組みます。
卵子一つあたりで考えるだけでなく、採卵単位で考えていくと、実際に患者さんが一番知りたい妊娠率が見えてくると思います。
卵子凍結を実施するのに最適な年齢などありますか?
→治療費のことを度外視すれば、若ければ若いほど良いわけですが、経済的な点も考慮して、
投資対効果という考え方をすると、海外の論文では37歳ということが提案されています。
外部参照:Fertility Steril. Optimal timing for elective egg freezing.
長年卵子を凍結し続けていると成績が悪くなるのではないか?
→凍結しつづけることで卵子がだめになるというようなことは報告されていません。
しかし、気を付けなければいけないのは、母体年齢が上がる点です。
年齢によって、お産を受けてくれる病院も選ばなければならなくなりますし、
妊娠後の合併症がおこる確率も高まっていきます。
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