卒業された患者さまからのお手紙をご紹介しています。
8年間の不妊治療を経て、45歳でご卒業された方からのお便りです。
(以下、原文ママ)
44歳の終わりにスタートした治療で無事妊娠し、45歳で出産しました。
今は家族が増えて、新たな生活を過ごしています。
30代後半に入って、別件で他院の婦人科を受診し、夫婦で検査を受けた後にこちらの病院を紹介されました。
立地がとてもよく、通いやすかったのがこのクリニックに決めた理由です。
不妊の原因から、最初から顕微授精といわれており、それに向けて通院していました。
こちらに通って驚いたのは、いつもすごい待ち時間があるほどに患者さんが多いことです。
通院中、先が見えない治療を続けているとつらいことも多く、まずは待ち時間が長く、
いったん始めると頻繁に通うことになり、仕事をしているとお休みを取らなくてはいけないのですが、
治療に関しては誰にも言っていなかったので、あれこれ理由をつけてはお休みを取っていました。
採卵に向けては、自己注射が慣れないことも手伝って、とてもストレスを感じた記憶があります。
待ち時間には、今日のご褒美ランチは何を食べようか?などと考えたりもしていました。
私の場合、治療年数は長いのですが、実際には間に長くお休みをしていた時期がありました。
採卵した頃に、主人の体調が悪くなり、その状態で無理に進めても・・・と考え、治療を中断し5年くらいは凍結していました。
治療再開のめどがいつ立つのかわからない中でしたが、その間はあまり考えすぎないようにしていました。
体調も回復し、43歳のときに治療を再開しましたが、その時の結果はうまくいきませんでした。
その後、仕事などで日々追われているうちに翌年になってしまい、また治療を開始しました。
凍結していたものも残り僅か、今回がだめなら年齢的にも治療は終わりかな?とか、年齢のこともあったので、
今から妊娠出産で子育てできるのか?と少しネガティブ思考になっていましたが、
主人にどうにかなると言われ、気持ち的にも少し楽になりました。
前年がだめだったので、結果を聞くときには自分の心に自己防衛が働いていたのか、あまり期待しすぎないようにしよう、と思っていました。
そんな感じだったので、先生に
「おめでとう、妊娠していますよ」
といわれたときには、驚きが先に来て、あとからじわじわと喜びが込み上げてきました。
妊娠してからは、実は不妊治療をしていたと周囲に言うようになったのですが、同じように治療をしていたり、不妊治療を考えていたりする人と、
治療の話をするようになりました。
多分、この体験談を読んでいただいた方は、まず私の年齢に注目されたのではないっかと思います。
治療で大変だなと思ったときに、こんな人もいたんだなと思ってもらえたらと思い、体験談を書かせてもらいました。
現在治療している方へは、心身ともに無理しすぎないことも大事だし、でも諦めないことも大事、ということを伝えたいです。
お世話になった先生方、スタッフの皆さま、本当にありがとうございました。
(お手紙はここまで)
不妊治療が大きく躍進した背景には、「凍結」が深く関係しています。
治療を始めたときが一番若く、その時点で凍結することは、卵子や受精卵の加齢を止めることができると考えると分かり易いかもしれません。
治療を一度中断される前に凍結していたことも非常に良かったのだと思います。
しかし、何より8年という期間にわたり、不安な気持ちもありながら、ご夫婦で支えあい、最後のコメントにもありますが、
心身ともに無理しすぎないことも大事だし、でも諦めないことも大事、というのは非常に説得力のあるコメントだと思います。
不妊治療のストレスをゼロにすることは、治療の性格上とても難しいですが、
少し自分を楽にしてあげられる工夫や夫婦のコミュニケーションを大切にしていただきたいですね。
ご卒業、おめでとうございます!素敵なお手紙をありがとうございました。