男性不妊の方における40%が該当するといわれる精索静脈瘤。
簡単に言うと、陰嚢部に発達したこぶのようなもの(静脈が拡張してできる)を精索静脈瘤と言います。
精索静脈瘤があることで、
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精子を作る機能が低下し
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作られた精子の品質(DNA損傷率が高くなる)
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男性ホルモンの分泌低下
などが引き起こされます。
乏精子症や精子運動率低下症などの方の多くが精索静脈瘤といわれています。
そして、精索静脈瘤の特徴は、「進行性」であるということです。
つまり、昔はなかったはずなのに、いつのまにかでき、それが日に日に肥大化していき、
病状が悪化する可能性を持っている点がこの症状の特徴です。
そのため、一人目のときには二人目がなかなかできない、いわゆる二人目不妊では、
実に78%には精索静脈瘤がかかわっているともいわれています。
アメリカの生殖医学会では、不妊治療のはじめに精索静脈瘤を治しておくことが推奨されるほど、
精索静脈瘤というのはよくある症状であり、男性不妊の主たる要因となっています。
精索静脈瘤低位結索術とは
精索静脈瘤を治すことは、精子を作る力、精子の品質を担保する力が上がることにもつながりますので、
例えば
女性側に原因がない場合、不妊治療を行わなくても妊娠する機会が得られる
現在高度な不妊治療を行っている方でも、ステップダウンできる可能性がある
などのメリットが得られるとも考えられます。
精索静脈瘤の手術方法としては、
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高位結索術
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腹腔鏡下精索静脈瘤手術
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低位結索術
の三つが一般的に考えられます。
現時点では、低位結索術が主流とされています。
低位結索術は局所麻酔で行うため、日帰り手術で行えるという事も特徴として挙げられます。
具体的な方法は以下から確認いただければと思います。
精索静脈瘤手術が適応になる方
精索静脈瘤にはグレードがあります。
<精索静脈瘤のGrade分類>
Grade 1 立位腹圧負荷ではじめて静脈の怒張を触知できる
Grade 2 立位で容易に触知できる
Grade 3 陰嚢皮膚ごしに静脈瘤がみえる
という分類になりますが、このGrade2以上に基本的に精索静脈瘤手術は適応となります。
海外の学会では、Grade1であっても手術を実施することで良好な結果が得られたという報告もなされています。
精子が作られて射精するまでにはおおよそ3か月の期間を要します。
つまり精索静脈瘤手術を行っても、3か月間はすぐには効果は出てこないとも言えます。
不妊治療をされている方にとって3か月というのは非常に重要な時間ですから、
やみくもに適応とするのではなく、きちんとした医師の診察と納得の上で手術を選択するようにしましょう。