ピックアップ障害とは
卵子を卵管に取り込む「卵管采」が機能しないことを指します。
排卵→受精→着床→妊娠という一連のプロセスの中で最初の関門となる「受精」には、主役である卵子と精子の出会いが必要です。
膣内に射精された精子は子宮内を通過して卵管へ進み、卵巣から排卵した卵子は卵管采から卵管内へ取り込まれ「出会い」の場所へと向かいます。
しかし、この出会いは毎月必ず起こると保障されているものではなく、
原因不明不妊症の多くではうまく出会えていないことが一因となっています。
この排卵した卵子を卵管内に取り込む仕組みの不具合、これが「ピックアップ障害」です。
もし両者の出会いが成立しないと、精子は待ちぼうけをくらい排卵した卵子もどこかで絶えてしまい受精の機会を逃すことになります。
原因不明不妊=ピックアップ障害
一般には、何かしらかの検査によって原因がわかり、○○障害とわかるものが多いのですが、
ことピックアップ障害については目視で確認できるものではなく、結果検査によって原因がわからず、
「原因不明不妊」といわれ、ピックアップ障害であると考えられるケースが多いのです。
一例では、クラミジアに感染したことによって感染がおこり、癒着に発展して卵管采が機能不全に陥るケースは指摘されています。
考えられる対策
ピックアップ障害であると考えられる場合、原因がわからないため、明確な対策はありませんが、
考えうる対策は卵巣刺激となります。
クロミフェン療法といわれる内服薬による刺激法やhMG-hCG療法という注射による刺激方法があります。
つまり、排卵誘発を行い、複数の卵胞を育て、より多くの卵子を卵管采周辺に届けることによって、
卵管采がキャッチアップしてくれることを期待するというものです。
不妊症である場合のカップルの妊娠率は約2%といわれており、
クロミフェン療法で4%、Hmg-hcG療法でも6%程度とされます。
高いと感じるか、低いと感じるかは個人差がある数字ですが、
データとしてはこうした数字であるため、これを理解した上で対策を進めていくとよいでしょう。
実際には体外受精が対策となることが多い
ステップアップし、体外受精などを考えることも一つの治療行為であり、対策といえます。
体外受精は本来、ヒトが確認することができない
- 精子が卵管を正しく進み、
- 排卵された卵子が正しく卵管采から取り込まれ、
- 精子と卵子とが出会い受精し、
- その後正しく発育しているか
を体外で行う手法ですから、これらがどうなっているかを確認できるのです。
医師によって表現は異なりますが、体外受精を行い、受精させてみることによって、
「原因不明」とされていたものが何が問題だったのかわかるということもあります。
原因を明らかにすることは目的ではなく、妊娠確率を高めるための手段でしかありません。
経済的な面は分かれると思いますが、対策の選択肢としてはもっておくに越したことはないでしょう。