コラム

タイミングを1年続けてからの方がよいですか?

こんにちは、生殖心理カウンセラーの菅谷典恵です。

本日は

「タイミングを1年続けてからの方がよいですか?」

というご質問に対する回答を考えてみたいと思います。

 

 

おそらくこのご質問をいただくことになった根拠は、日本産科婦人科学会が、

「『不妊』とは妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで成功をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この『一定期間』について『1年というのが一般的である』と定義しています。」

としていることだと思います。

2年前までは、「一定期間」は1年ではなく2年でした。

 

この「一定期間」である「1年」という言葉が特にクローズアップされているため、妊娠を望んでいても、

妊娠しない期間が1年以上にならないと不妊治療のクリニックを訪ねてはいけない、とお考えになるご夫婦も多いようです。

 

しかし、この「一定期間」には、「避妊をしない性交渉があること」「卵巣や精巣に異常がないこと」「加齢による原因がないこと」などの前提があってのことです。

 

性交渉が順調でないご夫婦も現実にはたくさんいらっしゃいます。

私の担当しておりますカウンセリングでは、「誰に相談してみたらよいのかわからなかったので、話せて良かった。」とおっしゃる方々は大変多いのです。

 

また、卵巣や精巣に問題があるかどうかは、専門医の判断をうけないとわかりません。

今までご夫婦の努力で妊娠に向けて頑張ってきたけど、必要なのは努力ではなく、医療だった、というケースもたくさん拝見しています。

 

かといって病院に行かないといけないわけではなく、ご夫婦が何を優先したいかということが重要です。

 

医療の手を借りずに自然に妊娠することにプライオリティをおかれていたら、まずは様子をみるということで良いのだと思います。

もし、年齢などのことを考えて「早く産みたい」ということを優先されるのであれば、なるべく高度な技術を持つ専門医療機関の受診をお勧めします。

お身体の的確な判断には、専門的な見立てが不可欠です。

生殖医療に関しては、「手始めに近所のお医者さんに行ってみる」ということはあまりお勧めしません。

「最初にどこのクリニックのドアをたたくかで、そのあとの人生が変わってしまう」といわれるのがこの領域です。

 

ここでしばしばお見受けするご夫婦の状況は、女性が受診を希望しているのに、男性が「まだいいんじゃないか」と難色を示す、ということです。

「妊娠を望んでいるのに毎月生理が来てしまう」ということは、女性にとって「毎月流産をしているのと同じことのように辛い」といえます。

妊娠にとっての味方は「年齢の低さ」なのです。

気が付いたらこんなに期間が過ぎていた、ということは心理的にとてもつらいのでぜひ避けたいことです。

 

「タイミングを1年続けてからの方がよいですか?」という問いに対しては、「これが正解」という決まりはありません。

まずは、ご自分たちの価値観・ライフスタイルについて話し合い、「こうしたい!」という人生を歩まれることを応援しています。

もちろん、カウンセリングでのご相談もいつでもお待ちしています。

 

妊活ノート編集部

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妊活ノート編集部です。医療現場での当たり前を、より分かりやすい情報としてお届けします。正しい知識を得ることで、一日でも早い治療卒業のサポートをしたいと考えています。

菅谷典恵

菅谷典恵

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臨床心理士、生殖心理カウンセラー、がん・生殖医療専門心理士
京野アートクリニック(仙台、高輪)にて生殖心理カウンセリングを担当。
治療のことはもちろん、仕事と治療の両立、ご夫婦の考えの温度差、あらゆる人間関係など、どのようなご相談でもお受けしています。
治療もプライベートも快適に過ごすためのサポートとなるようなカウンセリングを目指しています。

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