基礎知識

夫婦一緒の診察が基本

当院は開院当初から、理事長の京野を筆頭に、男性不妊への対応もしています。

開院したのは20年以上も前であり、当時はまだまだ「不妊症は女性の病?」と受け取られがちの時代。

そんな中、なぜ男性不妊を診ることを始め、また同時に今なお診続ける、その理由を解説します。

 

男性を診るのではなく、夫婦を診る


男性不妊専門でもなく、婦人科専門でもありません。

当院は

「男性に不妊原因があっても、夫婦を一緒に診る。」

ことを開院当初からポリシーとして掲げています。

これは逆のケースでも同じことが言えます。

 

そこには、理事長の京野が開院当初から抱えていた

不妊の原因は男女半々であるわけだし、そもそもご夫婦は

「赤ちゃんがほしい」という共通の願いを以て私たちのところに来るわけだから、

同じ気持ちでこのご夫婦の想いに応えたい。

という想いが強く反映されています。

 

医師の数、専門性の違い


今でこそ若干良くなったとは言え、全国的に考えると、

不妊治療の施設が600施設もあるといわれています。

これは世界でも最多の数だそうです。

それにも拘わらず、泌尿器科の診察ができる生殖医療の専門医は、

全国で50名程度しかいないのです。

(外部参照)http://www.jsrm.or.jp/qualification/specialist_list.html

 

これが何を示唆するのかというと、

例えば、夫婦それぞれが異なるクリニックに通院していた場合、

奥様の方は婦人科の専門医が診ていて、卵巣予備能の状態からすぐにでも体外受精をすすめたとします。

一方で、ご主人の方は専門医ではない泌尿器科で見てもらっていて、ご主人の精液の状態から、まだ人工授精を続けようとすすめたとします。

この場合、それぞれの答えは間違っていないのかもしれませんが、大きくずれていることがわかると思いますし、

そこから夫婦間での食い違いが発生してしまうかもしれません。

それによって、お互いの納得がないまま、時間が過ぎてしまえば、またその分だけ妊娠する可能性は下がるわけです。

このズレを生まないためにも「夫婦一緒の診察」は基本中の基本なのです。

 

 

治療的なメリットも大きい


当院では精索静脈瘤のみならず、精巣内精子回収術(TESE)も実施しています。

実際に治療的なメリットも非常に大きなものです。

具体的には、「新鮮な精子と新鮮な卵子」で治療することができるという事です。

 

精子は凍結に弱い

仮に、他の泌尿器科で手術を行い、精子を得たとしても凍結をしてしまう事で、

精子がダメージを受けてしまいます。

たくさん精子が取れているのであれば、まだよいですが、ごくわずかしか精子が取れなかったら、

この影響は非常に深刻なものになります。

 

実際に参考として、非配偶者間の人工授精のデータをご紹介します。

昔は、新鮮な精子を使って治療をしていたため、妊娠率も高かったのですが、

現在は凍結精子を使う事が定められていて、結果として妊娠率は2-3%と非常に低くなっています。

提供精子は、若い男性から得るものですから、精子の状態は良いわけです。

それでいて、この妊娠率ということですから、容易に精子が凍結によってダメージを受けてしまうリスクは

想像いただけるかと思いますし、新鮮な精子と卵子で治療を行うことがいかに大切かもお分かりいただけるかと思います。

 

ご夫婦の共通の想いである「子供がほしい」をかなえるために、

「夫婦一緒の診察」を今後も続けていきたいと思います。

 

妊活ノート編集部

妊活ノート編集部

投稿者の記事一覧

妊活ノート編集部です。医療現場での当たり前を、より分かりやすい情報としてお届けします。正しい知識を得ることで、一日でも早い治療卒業のサポートをしたいと考えています。

京野 廣一

京野 廣一

投稿者の記事一覧

京野アートクリニック(仙台、高輪) 理事長
1978年に福島県立医科大学を卒業し、東北大学医学部産科婦人科学教室入局。1983年、チームの一員として日本初の体外受精による妊娠出産に成功。1995年7月にレディースクリニック京野(大崎市)、2007年3月に京野アートクリニック(仙台市)を開院し、2012年10月に京野アートクリニック高輪(東京都港区)を開院いいたしました。

関連記事

  1. AZF欠失検査とは
  2. 抗精子抗体
  3. 顕微授精のリスク・デメリットについて
  4. 「不妊治療にはいくらかかりますか」という質問
  5. 精子ができるまで
  6. ASPIRE2018での発表:子宮内フローラについて
  7. 育毛剤(プロペシア:フィナステリド)は精子に悪影響ですか
  8. 1前核由来の胚盤胞移植について

ピックアップ記事

こちらも注目

PAGE TOP