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新たな卵巣刺激法 ランダムスタートとは

体外受精を行う上で欠かせない「卵巣刺激」

スケジュールが非常に重要とされており、そのため女性にとっては、

日程管理が非常に重荷とされてきました。

参照:体外受精における卵巣刺激とは

排卵から何日目にクリニックへ行き、何日目から注射を開始して、ということが複数回にわたってあるのが通常です。

卵子が主役といわれる不妊治療の鉄則であったわけですが、

今回、記載する「ランダムスタート」とは、卵巣刺激の開始日をより自由に考え、

指定した「ある時」を軸にコーディネートしていくもので、従来の常識を大きく覆すものとなります。

 

新たな卵巣刺激 ランダムスタート法とは?メリットは?


ランダムスタート法とは、これまで月経中より排卵誘発を開始し採卵する方法と異なり、

月経周期のいつの時期でも卵巣刺激が可能というものです。

 

 

いつでも卵胞は発育させることができ、卵胞発育に時間がかかっても卵子の質には影響しない

という点で新たな発見と考えられております。

今回、このランダムスタート法に関しての論文を紹介いたします。

Flexibility in starting ovarian stimulation at different phases of themenstrual cycle for treatment of infertile women with the use of

in vitro fertilization or intracytoplasmic sperm injection

Ningxin Qin et al Fertility and Sterility, 2016 Vol. 106, Issue 2, p334–341.e1

 

2014年12月より2015年12月まで体外受精・顕微授精治療を行った150名の方および90名の凍結胚移植症例を卵巣刺激開始時期により、

前期卵胞期グループ(A)、後期卵胞期グループ(B)、黄体期グループ(C)の3つのグループにわけて、その結果を分析したものです。

 

3つのグループとも卵胞発育したのちGnRHアゴニストおよびhCG注射を使用し、

卵を成熟させて34〜36時間後に採卵し、受精卵を凍結保存しました。

 

採卵数 に大きな差は見られず

  • A:7±3.6個

  • B:2±3.7個

  • C:2±3.9個

妊娠率 に大きな差は見られず

  • A:5%

  • B:5%

  • C:9%

着床率 に大きな差は見られず

  • A:7%

  • B:2%

  • C:1%

 

そのほか、卵の成熟率、受精率、着床率、凍結受精卵数、臨床的妊娠率に有意差はなく、流産率や子宮外妊娠率にも差は認めませんでした。

よって、どの月経周期において卵巣刺激を開始しても同等に有効であり、

どの時期からでも卵巣刺激を開始し採卵できること、異なる月経周期で得られた受精卵は同様の発達、

妊娠の可能性があることが示されました

 

今後の新たなスタンダードになる可能性も


従来、ランダムスタート法は、白血病等のがん患者の化学療法や骨髄移植前の緊急妊孕性温存のための卵子採取が適応として、当初導入されました。

今後は、海外在住で短期間日本に滞在して治療予定の方や年齢等の因子により治療を急ぐ方などの受精卵凍結にも、適応が拡大されてくると思われます。

体外受精が広がる中で、仕事との両立などの社会的な課題に対しても一石を投じることになります。

スケジュール調整がしやすいという意味では、IVM(未成熟卵子体外培養)も同じ性格を持っており、

今後の適応に注目が集まります。

参照:IVM(未成熟卵子体外成熟培養)

卵胞は常に供給されており、自然の月経周期では周期の開始にあった卵胞がホルモンの作用で発育し選ばれたものが排卵します。

しかし常に供給されている卵胞ですので、どの時期でも卵巣刺激すれば発育し採卵は可能という原理の上に成立するランダムスタート法。

今後の動向に注目が集まります。

 

 

妊活ノート編集部

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