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第6回 妊孕性温存に関する講演会

先日、9月4日の台風の中、高輪院では第6回となる妊孕性温存に関する講演会を開催いたしました。

今回は、デンマークより、凍結融解卵巣移植のトップランナーであるC.Y.Andersenをお招きしての開催となりました。

一部、講演会の内容やディスカッションについて紹介したいと思います。

 

卵巣凍結と共に行う未成熟卵子の成熟体外培養(IVM)の勉強会

講演会に先立ち、院内でおこなった勉強会では、

主に卵巣組織凍結と同時に行われるIVMについてもレクチャーを受けました。

日本では、そもそもIVMを実施できる施設や技術者が極めて少ないですが、

特に若年者での妊孕性温存で卵巣凍結を行う場合などには、同技術があることで、

卵子も卵巣も凍結保存できる可能性があります。

それは、最終的な妊娠にいたる可能性と方法を拡げていくことに直結します。

写真の通り、エキサイティングな議論が展開されました。

 

当院の遠隔診療の取り組みやがん・生殖医療専門心理士によるカウンセリングについて

 

がん・生殖医療専門心理の菅谷が講演いたしました。

当院では、がん・生殖医療専門心理士によるカウンセリングを、妊孕性温存を希望される方にはご利用いただいております。

がんと申告され、本格的な治療が始まる「隙間」に生殖医療が介入するだけでは、その後の継続的なフォローアップは困難です。

ドクターや看護師だけでなく、カウンセラーという立場でかかわることによって、患者さんの支援をしています。

がんはご本人だけでなく、パートナーやご家族にまで波及する問題であることを再確認することができました。

C.Y.Andersenの講演

座長を山王病院院長の堤治先生にお務めいただきました

 

今回は主に、凍結融解卵巣組織片移植についての話となりました。

これはまさに日本の妊孕性温存がこれからチャレンジしなければならない喫緊の課題とも言えます。

講演の中でのメッセージで印象的であったのは、

・卵巣凍結については、すでに症例も多く実験的というステージではないこと

・移植がその後の妊娠にかかわる最重要ポイントであり、移植場所によっても大きく結果が異なること

がありました。

また、何よりどのようにして卵巣凍結の有効性を評価するかというのは様々な議論が必要であることが示唆されました。

具体的には、

受精卵凍結・卵子凍結であれば、それらを使用して妊娠したかどうか、その成績をもって、有効性の判断をすることはできます。

しかし、卵巣凍結については、その限りではありません。

理由は、

・自然妊娠ができるという特徴であるため、何をもって成功とするかを判断するか

└移植後にきちんと排卵していれば成功なのか、妊娠したら成功なのか

が主なものです。

もちろん体外受精もできるわけですが、その後の可能性が大きいからこそ、有効性の定義が極めて難しいのです。

これは、何か単純に評価できるものではなく、それこそ体外受精がこれまで40年の道のりの中で証明してきたように、

地道に様々な角度か検証していく必要がある問題だと思われます。

 

現時点では、卵巣を凍結する技術、融解して移植すればほとんどの卵巣が機能することは確立されています。

有効性については、その評価が定まっていません。

こうした情報を患者さんも含めて共有しつつ、一人でも多くの方が正しい情報の中から、

ご自分にとっての妊孕性温存を選択できるようにしていければと思います。

 

 

 

 

妊活ノート編集部

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