基礎知識

年齢(加齢)が与える不妊への影響とどう向き合うか

現在、日本では晩婚化、晩産化が進んでおり、

ひとつの社会的な課題となっています。

実際に不妊治療を行う中では、明確に器質的な異常を認めないにも拘わらず、

なかなか妊娠に至らない方も多くいらっしゃいます。

その方々の多くに「加齢」の影響があります。

 

「加齢」は止められる?


Aging and the environment affect gamete and embryo potential: can we intervene?

David R. Meldrum et al.,

Fertil Steril2016; 105: 548-559.

今回ご紹介する論文は加齢についての見解をまとめたものですが、

大きく二つのアプローチをしています。女性の場合を想定しています。

 

①前提として、加齢は誰にでも起こるものであり、それにより卵子は成熟していく。

数は次第に減少し、徐々に染色体異常を起こす比率も高くなっていく。

 

②卵子の成熟は環境に依存している。

環境要因として、酸化ストレス、肥満、喫煙、アルコールおよび心理的ストレスなどが含まれるとしています。

 

また、卵子の質を決定づける働きをするのがミトコンドリアであるとして、

コエンザイムQ10の効果など、そのエビデンスについて紹介しています。

 

ミトコンドリアに関する過去の紹介は以下から確認いただけます。

コエンザイムQ10とミトコンドリアについて

環境要因である項目については、以下のように紹介しています。

肥満:酸化ストレスが高い状態であるため、精子・卵子ともに質を下げる可能性が高い

喫煙:体外受精の成功率を大幅に下げるだけでなく、流産率を高めるとさえ報告されている

飲酒:男女ともに飲酒は体外受精などの成功率を下げると考えられている。

カフェイン:最近の報告では治療に影響しないとするものもあるが、まだ未確定であるため、治療に臨まれる方は、制限すべき

AGE(終末糖化産物):AGEが増加すると酸化ストレスが増加すると考えられているため、精子・卵子に悪影響を与える

などが紹介されています。

 

卵子の質にかかわるミトコンドリアにとっては、加齢および環境要因による酸化ストレスが悪影響を及ぼしていると考えられます。

 

そこから考えると、

加齢については抗いようもなく変えることは不可能と思われますが、

環境要因によっては大いに変えられる可能性があります。

 

健康的な食事・運動やストレス解消を行うことによって、

不必要な環境要因による酸化ストレスを無くしていくことは、

人生の質を高める上でも重要なことかと思います。

 

ただ、あくまでも両輪であることを忘れてはいけません。

ライフスタイルがよければいつでも妊娠できる力が残るのか、

というとそうではなく、年齢に応じて必要な努力・医療は変わってくるものと思います。

 

 

 

 

 

 

 

妊活ノート編集部

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