基礎知識

不妊症患者におけるビタミンD不足と自己免疫疾患の関係について

ビタミンDは様々なところで注目されており、

今回は自己免疫疾患との関係性についても触れている論文がありましたので、

紹介したく思います。

 

 

 

不妊症における自己免疫疾患の関連性


自己免疫疾患と不妊症には深いつながりがあると考えています。

以下でも解説していますので、確認いただければと思います。

甲状腺機能異常による不妊

実際には、抗リン脂質抗体症候群やバセドー病や橋本病といわれる甲状腺機能障害などが

多くありますが、簡単に言えば、自己免疫疾患にかかられている方は妊娠する確率が低くなると知られています。

そのため、自己免疫疾患を治療してから、生殖医療を行うことが多くあります。

 

ビタミンDと自己免疫疾患の関係


話を本筋に戻します。今回は以下の論文について紹介します。

P.Triggianese et al .,

Vitamin D deficiency in an Italian cohort of infertile women..

Am J Reprod Immunol;78:e12733 https://doi.org/10.1111/aji.12733

本研究はビタミンDと自己免疫性疾患と不妊症との関連について検討しております。

研究の概要

期間:2013年から2015年にイタリアのポリメディカルセンターを受診された
対象:①不妊群:妊娠歴のない不妊症の方70名
②反復流産群:妊娠はするが出産に至らない方105名
③対照群:正常な方250名

評価項目

①自己免疫疾患の有無
②ビタミンDの値
(*ビタミンDそのものは代謝や脂肪組織への以降により大きく変動するため、測定が難しく代謝物である25(OH)Dを測定します)

血清25OHDの基準値に関しては2011年の内分泌学会のガイドラインに基づいて、
20 ng / mL未満を不足とし、7 ng / mLをより重篤な不足としました。

結果:

ビタミンDの値は、不妊群が反復流産群および対照群と比べて、有意に低く

不妊群(21.88±9.79)
反復流産群(25.74±11.17,P=0.03)
対照群(25.6±9.3,P=0.01)

25(OH)D不足の患者数は不妊群が反復流産群および対照群と比べて、有意に多い結果となりました

不妊群(45.7%、32/70)
反復流産群(30.4%、32/105,P=0.04)
対照群(27.2%、68/250,P=0.03)

自己免疫疾患については、不妊+非不妊群175人の女性のうち65人に自己免疫疾患を認め、
内訳としては甲状腺自己免疫疾患が多く69.2%(45/65)であり、
不妊群は非不妊群より自己免疫性疾患の有病率が有意に高いものでした。
(52.8%対27.6%、P = 0.0004)。

また、全集団において自己免疫性疾患をもつ女性は、
持たない女性と比較してビタミンDの値が低かったことも強調されています。

 

多変量解析を行ったところ、
自己免疫性疾患は不妊症のリスクを2.2倍(OR=2.2)に増加させ、
ビタミンDを補充することは不妊症のリスクを0.9倍(OR=0.9)に有意に減少させるという結果となりました。

 

誤解のないように補足をしますと、ビタミンDの補充をすることで、自己免疫疾患が治るということではありません。

自己免疫疾患もビタミンD不足もそれぞれ不妊の原因となるものであって、

自己免疫疾患を有する方は、ビタミンD不足であることも多い傾向があるということと思います。

そのため、自己免疫疾患を有する方は、二つの不妊原因を抱えている可能性があり、

比較的容易に補充のできるビタミンDを補うことは、少なからず妊娠率を向上させることに寄与するということと解釈しています。

 

補足:ビタミンD不足は不妊の原因になる以外にも妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、胎児発育不全の頻度を増加させるとする報告もあります。
また、骨や歯を丈夫にすることは健康増進につながることからビタミンDの不足は改善することが望ましいといえます。

当院では御希望があれば、まず採血にて25(OH)Dの測定をさせていただき、低値であればサプリメントの処方を行っております。
採血は生理時期に関係なくいつでもできますので、気になる方は担当医にお伝えください。

妊活ノート編集部

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