コラム

不妊症と精神疾患

-妊活や様々な言葉の登場で、不妊治療の受け取られ方はカジュアルになりました。

実際に、19-20人に1人が体外受精という状況でもありますし、

芸能人の方などが様々に不妊体験を語られる場も増えています。

 

一方で、不妊治療が与える様々な負担、そもそも不妊ということを受け止めることの負担が

なくなったわけではありません。

 

治療に臨むにあたっては、パートナーの方と実態を共有して、サポートしあいながら臨んでいただきたいと思っています。

今回は、不妊治療と心のケアについて解説します。

 

不妊症と精神疾患リスク


不妊治けることによって、精神疾患にかかるリスクが高まる可能性を指摘している論文があります。

オランダの32施設(おおよそ国全体の不妊治療施設の3分の1)にて横断的に行われた研究であるため、データ数も豊富にあり、

696人の女性と520人のパートナーからのアンケートを分析したものです。

 

結果の概要としては、不妊女性はパートナーと比べて、QOLが低く、

精神的、心身的、社会的の準指標でも低いということがわかったというものです。

外部参照:Hum Reprod 2013; 28: 2168–2176

 

フィンランドの論文では、2261の方を無作為に抽出し、その中から338名の不妊体験者と未体験者を比較した研究が行われました。

女性では20%の方、男性では9%の方が不妊を経験したということのようです。

 

不妊治療を受け、お子さんを授かっていない女性は、不妊治療を受けていない女性と比べると、

うつ病のリスクが3.41倍、不安障害が2.67倍と高くなり、

不妊治療を受けお子さんがいる女性においては、パニック障害のリスクが、不妊治療を受けていない女性と比べて

2.58倍と高かったという結果が出ています。

男性について、不妊治療経験がある男性は、ない男性と比べて著しくQOLが低いという結果になりました。

 

デンマークではより大規模な研究がされています。

不妊治療を行った約100,000人のデータを解析したものです。

53547名(54.5%)の女性が治療後に妊娠しており、44773人(45.5%)は治療後妊娠しませんでした。

治療後に妊娠していない女性は、精神障害 1.17、アルコール中毒リスクが2.02倍、統合失調症リスク1.46倍と、

治療後に妊娠した女性と比べて高い結果が出ています。

 

不妊であることの受け取り方は、人それぞれで、男女でもまた異なるものではありますが、

自分自身あるいはパートナーにはこうした負荷がかかるということは知っておいていただきたいと思います。

 

早い段階でそうした受け止め方を身に着けるためにも、

当院では生殖心理カウンセラーによるファーストインタビューなども実施しています。

 

今後も心のケアに力を入れていきたいと思います。

 

 

妊活ノート編集部

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