基礎知識

銅と亜鉛 不妊との関係性について

厚生労働省が発表しているデータで興味深いものがあります。

 

参考:総説 日本人における亜鉛摂取量の現状と摂取基準

 

現代の日本人の食生活では、銅が過剰に摂取され、亜鉛の摂取が少ないということです。

具体的には、

男性は

銅の推奨量は1.0mg/dayに対して、摂取量が1.26mg/day

亜鉛の推奨量は10.0mg/dayに対して、摂取量が8.9mg

 

女性は

銅の推奨量は0.8mg/dayに対して、摂取量が1.07mg/day

亜鉛の推奨量は8mg/dayに対して、摂取量が7.2mg

 

という状況のようです。

これが一体何につながるのか、実は様々な研究がなされ、明らかになっています。

過去に投稿した葉酸と亜鉛については、以下を確認ください。

葉酸と亜鉛の基礎知識

 

銅と亜鉛の関係性


銅は体内に入ると2つの経路に分かれて吸収されるといわれていますが、

そのうちの1つは小腸内で、DMT1(divalent metal transporter 1)と結合して吸収されるのですが、

この経路では、鉄・亜鉛と競合します。

つまり、より濃度が高い方がより多く吸収されることになるということです。

ちなみに亜鉛の多くは骨格筋、肝臓、腎臓などで吸収され、小腸までくるのは、全体の30%程度といわれています。

 

銅と不妊の関係


銅と不妊の関係については、あまり知られていない事もありますが、

不妊との関係性は非常に深いものがあります。

 

海外で使用される子宮内避妊用具(IUD)は、銅が含まれているものが多く使用されています。

研究データによれば、この避妊用具を使用された場合の妊娠回避率は99.9%以上、

緊急避妊ピルの服用(97-99%)よりもはるかに高いことが知られています。

 

これは避妊に関する内容ですが、裏返せば、不妊ともそのままつながる可能性があります。

つまり、過剰な銅が体内とくに子宮などに付着していれば、着床を妨げるということです。

 

銅と亜鉛のバランス


話をもとに戻しますと、銅と亜鉛は同じ経路で吸収されるため、

亜鉛の摂取量を高めることで、銅の吸収を阻害することができるようになります。

ただし、この時注意が必要で、銅は必ずしも人体に不要なものではありません。

亜鉛の過剰摂取により「銅欠乏症」になることも報告されていますので、

きちんとした診断のもとで、適切に摂取する必要があります。

 

亜鉛欠乏の要因と対策

亜鉛が欠乏しているという場合にはいくつかの原因が考えられます。

原因に合わせた対策が必要となります。

不妊治療に臨まれる方の多くで該当する可能性がある方としては、①と②が多いように思います。

 

①摂取不足:菜食主義者など

→食生活の見直しが必要になる場合があります。

亜鉛が多く含まれている食品は、牡蠣、豚肉、牛肉などです。

②吸収不全:フィチン酸・食物繊維の過剰摂取

→フィチン酸は亜鉛と非水溶性の複合体を形成することにより亜鉛の吸収を阻害してしまいます。

フィチン酸が含まれる食品としては、未精製の穀物(玄米の胚芽や表皮に多く含まれる)や小麦、豆類(例:とうもろこし)であるため、

食生活の見直しが必要となる場合があります。

 

その他には、

③需要増大:妊娠など

④排泄増加:糖尿病など

⑤その他(過度なスポーツ)

 

などが考えられます。

 

特に反復着床不全の方は、一度銅亜鉛検査などで、

自身の血中濃度を調べてみると良いかもしれませんね。

その後の治療方針については、医師やスタッフまで相談いただければと思います。

妊活ノート編集部

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