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社会的適応による卵子凍結の実施とその後について

2012年、2015年にNHKのクローズアップ現代で

卵子老化の衝撃というタイトルで、卵子の老化について取り上げられました。

 

それに伴い、何か病気にかかっているわけではないのだけれど、

将来のことを考えて、少しでも若いうちに卵子を凍結させておきたい

という依頼が増えました。

 

これが社会適応による卵子凍結です。

 

以前にも書きましたが、社会的適応による卵子凍結に対しては、各学会含めて慎重な姿勢を示しています。

各ガイドラインを遵守した上で、当院ではかねてから社会的適応の卵子凍結について実施しています。

 

 

 

今回はその後の成績について、現状のものを共有できればと思います。

 

社会的適応の卵子凍結の実施状況


当院のこれまでの実施件数は以下の通りです。

2013年:3件

2014年:63件

2015年:111件

2016年:87件

 

社会的適応の卵子凍結は、未婚の方が適応になります。

多くのケースでは、パートナーがまだいないということもあり、

卵子凍結をしたからといって、すぐに融解して使うかと言えば、使わないのが実情です。

 

当院では長期にわたりフォローを続け、現在では3名の方が凍結していた卵子を使用しています。

結果としては、

3名が凍結卵子を使用した受精卵を移植し、

3名が妊娠し

2名が出産

という結果が現在のものです。

 

これから使用される方が多くいらっしゃると思いますが、

現時点では良好な成績と言えるかと思います。

 

社会的適応の卵子凍結は簡単なことではありません。

 

①患者さんとの共通理解

まず、きちんと患者さんとの治療のメリットやデメリットなどの目線を合わせることが必要です。

医師や看護師と患者さんのコミュニケーションが欠かせません。

 

②低い妊娠率

卵子1個当たりの妊娠率は5%程度と決して高くありません。

そのため、できるだけ多くの卵子を採る必要があります。

採れた卵子の数しか妊娠するチャンスはないからです。

そのためには効率的で安全な卵巣刺激方法が求められます。

 

③培養環境

そして、受精卵よりもより小さな卵子ですから、凍結し融解する間に

やはりいくらかのダメージを受け、一部の卵子は融解後生存していません。

生存率といわれ、当院では90%程度ですが、この数値も医療機関によって、全く異なります。

培養環境や培養士の技術も重要な要素です。

 

④心理的アプローチ

また、長期にわたったフォローアップが欠かせないものです。

生殖心理に特化したカウンセラーの存在もとても大切です。

 

治療の先延ばしの温床になることはもちろん避けるべきですが、

どこの医療機関でもできることではありません。

このようなあらゆる局面に対応することが求められます。

 

以前にも紹介し、多くの反響をいただいたカウンセラーの記事も紹介します。

臨床心理士の視点から見た卵子凍結の社会的適応について

妊活ノート編集部

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