基礎知識

子宮内膜の厚みが与える影響について

不妊治療において、妊娠が成立しないときの要因について、

患者さまから質問があがることが多くあります。

多くの場合、

受精卵側の要因が7割、子宮側の要因が3割

と回答するのが当院ではスタンダードです。

 

子宮内膜の厚みについては、よく言われるものの詳しいことは語られていないことが多いため、

子宮内膜の厚みについて解説していきたいと思います。

 

そもそも子宮内膜とは?


子宮内膜は、被覆上皮、間質、腺、血管から構成されています。

そして、月経の周期と共に増殖、成熟、排出していきます。

 

内膜の厚さのほとんどは間質で決まるといわれています。

内膜が薄い場合でも間質の浮腫の程度は変わってきませんので、

内膜が薄いということは、間質の細胞数そのものが減っている、

つまり、すべての構成成分が減少しているとも考えられます。

こうした形態的な劣化のみならず、機能的な劣化も現れ、

それらが複合的に関わり合い、薄い内膜では妊娠率が低くなるという関係につながるのではないかといわれています。

子宮内膜が薄いと妊娠しにくい?


いくつかのデータを紹介したいと思います。

Gonen.Yらの研究データでは、205例1035周期において、

排卵期から着床期における症例ごとの平均的な子宮内膜の厚みを調べました。

これによってわかることを上げると

90%以上が子宮内膜の厚みは8mm以上であったということ

妊娠率でみると、7mm以上あれば、移植あたり50%前後、6mm以下では妊娠率20%、6mm未満は0%でした。

そのため子宮内膜の厚みは最低でも6mmという風に言われています。

 

当院では望ましい環境として、子宮内膜の厚み8mm以上と考えています。

 

また、アメリカのShady Grove Fertility Reproductive Science Center Georgetown Universityの産婦人科の共同研究チームが行った研究では、

全1294周期を妊娠した群と妊娠しなかった群とで比較したうえで、

妊娠した周期の内膜厚:11.9mm

妊娠できなかった周期の内膜厚:11.3mm

という傾向がみられ、子宮内膜が厚いことは妊娠する可能性を高めるとみられています。

 

しかし、冒頭に記載しているように、子宮内膜の要因のみで、妊娠が成立するわけではなく、

子宮内膜が6-7mmでも、良好な胚盤胞を移植することで妊娠率が上がることが分かっています。

 

参照:ホルモンについてのまとめ

 

子宮内膜を厚くするには


先にも記載しましたが、子宮内膜は月経、つまり卵胞の発育と密接に関係しているため、

子宮内膜が薄い要因や子宮内膜を厚くする方法も、そこから見つけられるものも多いです。

 

少し詳しく記載すると、

 

卵胞が発育する時期に、卵胞ホルモン(エストロゲン)の増加が増加し、それにより、子宮内膜が増殖して厚くなります。

排卵後、黄体期(高温期)に入ると、黄体から分泌されるエストロゲンと黄体ホルモン(プロゲステロン)の作用によって子宮内膜はさらに厚みを増す。

こうして、いろいろな栄養物を蓄え、受精卵が来たら育てられるように準備しているのです。

 

ホルモンバランスを整える

子宮内膜が薄い1つの原因として考えられるのは黄体機能不全です。

黄体ホルモンの分泌が少なければ、子宮内膜が厚くならずに着床できないことも多くあります。

また、黄体ホルモンにかかわらず、様々なホルモンが影響しあって、増殖していくものでもあるため、

各ホルモンの分泌を整えていくことが大切ですね。

 

内服薬の確認

クロミフェン・クロミッドなど排卵誘発剤を服用している方は、

副作用として子宮内膜が薄くなることが報告されています。

 

採卵と移植の周期を分ける

体外受精以上の治療の場合、卵巣刺激を行うことで、ホルモンのバランスは通常の状態と異なる反応を見せます。

この時のホルモンバランスは、採卵に適したホルモンバランスです。

そのため、移植に最適ではない場合(着床に適した子宮内膜にならない)もあります。

そうした際には、採卵した周期では移植を行わずに、今度は子宮内膜に注目して、

妊娠しやすい環境を作って移植していく、凍結融解胚移植を選択するのも一つの治療法かもしれません。

参照:凍結融解胚移植について

 

 

妊活ノート編集部

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