妊孕性温存について考える

子宮頸がんと妊孕性温存

前回は、乳がんと妊孕性温存について解説しました。

若年性のがんとして、非常に増加傾向にある子宮頸がんについても、

解説しておきたいと思います。

 

子宮頸がんと妊孕性温存


テレビCMなどでも盛んに言われたこともあり、若くして子宮頸がんになる人が増えている、

そういう認識のある方も少なくないかもしれません。

その通り、事実急激に若年性の子宮頸がん患者は増えています。

5大がんといわれる肺癌、大腸がん、胃がん、乳がん、子宮頸がんですが、

多くの場合、50歳代以降に罹患する方が最も多い傾向がありますが、

子宮頸がんだけは別であり、30歳代にピークが来ています。

そして、その30歳代というのは、初婚年齢や出産年齢と同じ傾向にあるため、

子宮頸がんと妊孕性温存は非常に近い関係性にあると言えます。

 

子宮頸管の妊娠における役割


子宮頸がんの場合、進行度(ステージ)によって、子宮全摘出をすることが主となります。

子宮が無くては、当然妊娠・出産をすることはできません。

そのため、子宮頸がんにおける妊孕性温存の取り組みは、いかにして

子宮頸がんを取り除きながら、子宮を残していくかということを考えることでもあります。

(子宮頚部は一部取り除かなくてはなりません)

 

そもそも、子宮頸部の役割は、排卵日に合わせて子宮頸管粘液を出し、妊娠のサポートをしたり、

一方で、排卵日でない日や妊娠後には細菌が入らないようにバリア的な機能を果たしたり、

また胎児を下で支えている構造になるため、子宮内にとどまるよう物理的なサポートをしています。

その子宮頚部がなくなるわけですから、流産や早産のリスクが高まるともいわれるため、

妊娠してからもきちんと診察を受けなければなりません。

 

子宮頸がんのステージと妊孕性温存


子宮頸がんはいくつかのステージに分かれています。

0-Ⅳ期までに分かれていて、

  • 0期:がんが粘膜相上皮にとどまっている
  • Ⅰ期:がんが子宮頸部にとどまっている
  • Ⅱ期:がんが頸部以外にも広がっている
  • Ⅲ期:がんが膣の下部や骨盤壁にまで広がっている
  • Ⅳ期:がんは膀胱、直腸または体の他の部分にまで拡がっている

子宮頸がんにおける妊孕性温存の手法では、

広汎性子宮頸部摘出術(腟式トラケレクトミー)というものがありますが、

これが適応されるのは、上記でいうⅠ期のものに限られます。

 

Ⅰ期は厳密にいうと、

認められるがんの量によって、1Aと1Bに分けられます。

 

1A期では、顕微鏡でみないと検出できないレベルのもので、その中でも

浸潤の深さと広がりによって、1A1期と1A2期に分けられます。

 

1B期は、1B1期と1B2期に分けられ、1B2期になると、がんは肉眼でわかるような大きさ(4㎝)ほどにまでなります。

膣式トラケレクトミーが適応されるのは、一般に1B1期までです。

(詳細はかかられる医療機関にお問い合わせください)

 

つまり、早期の発見が妊孕性温存には欠かせないということです。

 

また、妊孕性温存にかかわらず、5年生存率という観点で見ても、

早期の発見は欠かせません。

 

公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計’15」によれば、

  • Ⅰ期:90.7%
  • Ⅱ期:74.2%
  • Ⅲ期:55.1%
  • Ⅳ期:20.8%

という報告がされています。

 

発見時期によって、妊孕性温存のみならず、治療自体の根治の可能性も全く異なってくるのがよくわかります。

社会的にも増加傾向にある子宮頸がん。

早期に発見すること、あるいは予防することは、それ自体が妊孕性温存にもつながると言えます。

 

参照元:国立がん研究センター

妊活ノート編集部

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